酒さ(赤ら顔)の治療薬について

酒さ(しゅさ)の治療に使われる薬にはいくつか種類があります。症状の程度やタイプ(紅斑性酒さ、丘疹膿疱性酒さ、鼻瘤など)によって異なりますが、以下の薬が一般的に使用されます。

酒さ(しゅさ)の治療に使われる外用薬(塗り薬)

・メトロニダゾール(商品名:ロゼックスゲル、ロザジェル など)
抗菌・抗炎症作用があり、丘疹や膿疱がある酒さに有効
※ロゼックスゲルは病院で処方してもらうことができます。
ロザジェルは個人輸入で購入することができます。

・イベルメクチン(商品名:イベルメクチンクリーム など)
毛包虫(デモデックス)を抑える作用があり、炎症性酒さに効果的
イベルメクチンクリームは個人輸入で購入することができます。

・アゼライン酸(商品名:azaクリア、アゼライン酸20%クリーム、アゼライン酸クリーム、 など)
角質異常や炎症を抑える作用があり、欧米では第一選択肢として使用されることが多い
※azaクリアは病院で購入できます。アゼライン酸20%クリームはamazonなどで買うことができます。

・ブリモニジン(商品名:ミルバソゲル
血管収縮作用があり、一時的に赤みを抑える
ミルバソゲルは個人輸入で買うことができます。

酒さ(しゅさ)の治療に使われる 内服薬(飲み薬)

・抗生物質(テトラサイクリン系)
ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン など)
ミノサイクリン(商品名:ミノマイシン など)
抗炎症作用もあり、炎症性酒さの治療に使われる

・イソトレチノイン(商品名:アキュテイン など)
ビタミンA誘導体で皮脂の分泌を抑え、重症の酒さに使用される(ただし日本では未承認)

その他の治療法

レーザー治療(Vビームレーザーなど)
血管の拡張を抑え、赤みを軽減する

漢方薬(十味敗毒湯、黄連解毒湯など)
体質改善を目的に使われる

どの治療が適しているかは、酒さのタイプや重症度によるので、皮膚科で相談するのがベストです。

ただし、酒さ(赤ら顔)について詳しくない医師も多いのでそこは要注意です。

酒さのタイプについて

酒さ(しゅさ)は大きく分けて以下の 4つのタイプ に分類されます。それぞれ症状が異なり、治療法も変わります。

1. 紅斑(こうはん)毛細血管拡張型酒さ(Erythematotelangiectatic Rosacea, ETR)

◆特徴
顔(特に鼻・頬・額・顎)の持続的な赤み
毛細血管が拡張し、血管が透けて見える
ほてり感やヒリヒリ感がある

◆治療法
ブリモニジン(血管収縮作用のある外用薬)
レーザー治療(Vビームレーザー、IPLなど)
保湿・紫外線対策が重要

2. 丘疹(きゅうしん)膿疱(のうほう)型酒さ(Papulopustular Rosacea, PPR)

◆特徴

赤みのある皮膚に、ニキビのような赤いブツブツ(丘疹)や膿をもったブツブツ(膿疱)ができる
脂っぽい肌に多く見られるが、乾燥肌の人にも発生することがある
ヒリヒリ感やかゆみを伴うことも

◆治療法
メトロニダゾール(ロゼックスゲルなど)やイベルメクチン(ソルバティ)などの外用薬
テトラサイクリン系抗生物質(ドキシサイクリン、ミノサイクリン)の内服
皮脂分泌が多い場合は、イソトレチノイン(アキュテイン)も選択肢(日本では未承認)

3. 鼻瘤(びりゅう)型酒さ(Phymatous Rosacea)

◆特徴
鼻の皮膚が厚くなり、ゴツゴツとした形状になる(特に男性に多い)
皮脂の分泌が増加し、毛穴が広がる
進行すると「団子鼻」のように変形する

◆治療法
イソトレチノイン(皮脂抑制作用)
外科的手術(レーザー治療や皮膚削り術)

4. 眼型(がんがた)酒さ(Ocular Rosacea)

◆特徴
目が充血しやすい、乾燥する、まぶたが腫れる
目の周りが赤くなり、ヒリヒリしたりゴロゴロしたりする
進行すると視力低下や角膜炎のリスクも

◆治療法
人工涙液や抗炎症目薬
テトラサイクリン系抗生物質の内服(ドキシサイクリンなど)
まぶたの清潔を保つことが重要

酒さの進行ステージ

酒さは最初は軽度の紅斑から始まり、進行すると丘疹・膿疱が増えたり、鼻瘤型に発展したりすることがあります。早期のケアが大切です。

もし酒さの疑いがある場合は、皮膚科で診断を受けるのがベストです!

酒さの原因について

酒さ(しゅさ)の原因は完全には解明されていませんが、 体質的な要因+環境要因+免疫反応 が関係していると考えられています。以下、 4つのタイプごと に原因を説明します。

1. 紅斑・毛細血管拡張型酒さ(ETR)の原因

◆主な原因
血管の異常 → 皮膚の血管が過剰に拡張しやすい
紫外線 → 長期間の紫外線暴露で血管がダメージを受け、拡張しやすくなる
遺伝 → 酒さになりやすい体質が遺伝する可能性
神経の過敏反応 → 皮膚の温度センサーが敏感で、熱や寒さに過剰に反応

◆悪化させる要因
熱い飲み物、辛い食べ物、アルコール
温度変化(寒暖差)、ストレス
日焼け、スキンケアの刺激

2. 丘疹・膿疱型酒さ(PPR)の原因

◆主な原因
デモデックス(毛包虫)の異常増殖
皮膚に常在するダニ(デモデックス)が増えると炎症が起こる
免疫の過剰反応
酒さの人はカテリシジンという抗菌ペプチドが異常に増え、炎症が強くなる
腸内環境の悪化
腸内細菌の乱れが、免疫バランスを崩し、皮膚の炎症を引き起こす

◆悪化させる要因
油っぽい食事、アルコール
皮膚を刺激するスキンケア(スクラブ、強い洗顔料)
抗生物質の長期使用 → デモデックスが耐性を持つことも

3. 鼻瘤型酒さ(Phymatous Rosacea)の原因

◆主な原因
皮脂の過剰分泌
皮脂腺が異常に発達し、鼻の皮膚が厚くなる
慢性的な炎症
繰り返す炎症で組織が肥大化し、鼻がゴツゴツと変形
男性ホルモン(アンドロゲン)の影響
男性に多いのは、ホルモンが皮脂分泌を増やすため

◆悪化させる要因
長期間放置することで進行する
アルコール、油っぽい食事
皮膚の摩擦や刺激

4. 眼型酒さ(Ocular Rosacea)の原因

◆主な原因
皮脂腺の異常 → まぶたのマイボーム腺が詰まり、炎症が起こる
デモデックス(毛包虫)の影響 → まつ毛の毛穴にダニが増殖し、炎症を引き起こす
慢性的な免疫異常 → 目の表面に炎症が持続し、ドライアイなどの症状が出る

◆悪化させる要因
コンタクトレンズの装着
目をこする癖
乾燥した環境、花粉やホコリ
酒さ全体に共通する原因
遺伝的要因 → 家族歴がある場合、発症リスクが高い
免疫異常 → 体の防御反応が過剰になり、慢性的な炎症を引き起こす
血管異常 → 血流が増えやすく、ほてりや赤みが出やすい
腸内環境の影響 → 腸内細菌バランスが崩れると炎症が起こりやすくなる

酒さの割合

酒さの4つのタイプの発症割合は正確なデータが限られていますが、大まかな傾向として以下のような分布と考えられています。

酒さのタイプ別発症割合(目安)
紅斑・毛細血管拡張型(ETR) → 約50〜60%
丘疹・膿疱型(PPR) → 約30〜40%
鼻瘤型(Phymatous Rosacea) → 約5〜10%(重症例に多い)
眼型(Ocular Rosacea) → 約20〜50%(他のタイプと併発することが多い)

補足
紅斑・毛細血管拡張型(ETR) が最も一般的で、最初に発症することが多い。
丘疹・膿疱型(PPR) は紅斑型から進行して発症することが多い。

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